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玲音 / ray-on Jun. 28, 1998

1986年3月、TP&HBがボブ・ディランとともに来日したときのことです。

大阪公演を見た翌日、わたしはたまたま名古屋のとあるデパート(わたしは名古屋の近くに住んでいたので)に用があって出かけました。そして5階か6階のおもちゃ売場でTomとばったり出くわしました。TP&HBは次の日の名古屋公演のために前乗りしてきたのでしょう。時間は午後3時前後だったと思います。

Tomは子供へのおみやげを物色しているところでした(多分)。わたしは彼がまだしばらくそこにいそうだと推測して、違う階の文具売場まで思い切り走りました。そして色紙とマジックを買って、おもちゃ売場までまた全力で戻りました。それから、わたしは意を決して彼に声をかけました。Tomは日本人の通訳とアメリカ人のスタッフらしき人と一緒で、通訳の人は「プライベートだから」と遮りましたが、Tomはかまわないという仕草でわたしの相手をしてくれました。

昨日大阪でコンサート見た、とっても良かった、みたいなことを言って「Please give me a sign」と頼んだら書いてくれた(あれは英語ではautograph というのだと後で知った)。

Tomに名前は何というのだと聞かれたので[M-A-S-A-R-U](マサルという名前です)と順に発音したつもりだったのですが、ちょっと焦っていたのか[M-A-S--R-U]と言ってしまい、Tom は正直にそのまま書いてくれました。

Tom にお礼を言って別れたあと、色紙を見たわたしは愕然としましたが、もう後の祭りです。仕方ないので、持っていたマジックで[U]を無理矢理[A]に直しました。「カッコわるー」でしたけど、Tom にサインをもらったという事実は変わらない、と自分に言い聞かせながら、その当時仕事をしていた事務所のみんなに自慢するために、わたしはスキップをしながら、デパートを出たのでした。

Tom は背が高い印象はあまりなく、わたしと同じレベルの目線で話をしていたような記憶です。透き通るような金髪がきれいでした。このときわたしは29歳、Tom は35歳ですか、わたしはとっても彼のことが好きだったのです。このあとわたしが彼のレコードを毎日毎晩、聴き続けたのは言うまでもありません。
我が家の家宝、玉に瑕、のお話でした。 玲音 <Masaru T.>
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