『メイドのココロ』裏話


『メイドのココロ』が出来るまで

 管理人が『メイドのココロ』の企画を立てたのは2003年2月ごろの頃でした。
 その頃は「五月一番亭」が立ち上がってからちょうど半年が過ぎた時期で、そろそろホームページの方向性をきちんと固めなければと考え出した頃でもありました。むろん、それまでのいわゆる『よろずサイト』のままでもよかったのですが、どうせならホームページの『色』をきちんと打ち出したい。管理人がこのHPで何をしているのか、何をしたいのかが明確に分かるようにしたい―と、常日頃より思っていたのです。
 一方、管理人はPBMに以前から興味があり、過去に同人PBMのマスターをつとめたこともありました。さらに郵便を利用する紙媒体よりももっと手軽なPBeMにもかなり関心がありました。そこで、管理人はこのサイトを同人PBeMのサイトにすることに決定し、そこで運営される同人PBeMをどのようなゲームにするかを具体的に決める作業に入ったのです。


 はじめに考えたのは、以前紙媒体で行った同人PBMの続編的内容でした。いわゆるRPG風のファンタジー世界で、強大な帝国軍の侵略から祖国を守るというヒロイックファンタジーの王道的なシナリオを考えていたのです。しかし、諸般の事情によりこの案は没となり、まったく新しいシナリオを組みなおすことになりました。
 そして生まれたのが『メイドのココロ』の原点となるシナリオでした。最初はプレイヤーキャラクターがメイドアンドロイドというものを考えていたのですが、さすがに無理があるということでプレイヤーキャラクターは人間になり、その代わり通常のプレイヤーキャラクターと半プレイヤーキャラ扱いのSDキャラクターの二人のキャラクターを一人のプレイヤーが演じるというシステムを取り入れることにします。これは以前某社でもやっていたシステムを(相当簡略化はしましたが)流用したものでした。


 この時点で『コンピュータが人間に対して叛乱を起こす』というシナリオの基本プロットはすでに出来ており、SDが実はマザーコンピュータが人間を理解するために作り上げた一種の偵察マシンというのもすでに決まっていました。そのためのガジェットとしてディジタルウェブシステムや新桜花市の設定が作られ、コンピュータの側につく人間と、コンピュータの暴走を止めようとする側の人間の双方のNPCもそれぞれ設定されていきました。
 なお、コンピュータが人間を知るためには人間と同じ感覚・思考が必要だという概念は、神林長平「戦闘妖精・雪風」に強くインスパイアされたものです。また、SDの構造はコナミのアドベンチャーゲーム「スナッチャー」の設定を参考にしています。
 大まかな背景が出来上がったところで、次にもっと詳細なプロットを組み上げていきます。実はここで管理人はあるミスをしでかしました。Meグループ社の社長・ミーシャ・葛原と新桜花市市長・門間三郎のふたりのNPCが、プレイヤーキャラクターにMeグループ社の社員がいないと殆ど出てこないというプロットにしてしまったのです。結果どうなったかというと、門間市長はなんとか出演させたもののシナリオに直接絡むことはなく、葛原社長にいたっては初登場ですでに死んでおり、台詞のひとつもないという事態になってしまいました。


 そんな訳で、多少見切り発車なところもありましたが、『メイドのココロ』は2003年6月よりスタートしました。その後どのようなストーリィ展開になって行ったかは、プレイヤーの皆さんもご承知のことかと思います。プロットのミスが後々まで響いたことと、管理人の健康状態が思わしくなかったことが重なり、リアクション公開の遅延が度重なってしまいましたが、それでも何とか最終回までこぎつけることが出来ました。最終回の『マスターより』でも書きましたが、ここまでこれたのは、ひとえに最後まで付き合っていただいた参加者の皆さんのお陰だと管理人は思っています。参加者の皆さんにはこの場を借りて感謝します。本当にありがとうございます。


NPCの設定について

 さて、PBeMでは非常に重要なファクターであるNPCですが、実は管理人は、NPCをかなり適当に作ってしまうタチです。さも何か裏がありそうなことを匂わせておいて本当は何も考えていないというのが結構あったりするのです。これがリアクション遅延の原因のひとつの様な気がしないでもありませんが、PBeMってのはストーリー展開がプレイヤーのアクションでころころ変わるものだし、それならフレキシブルに対応できる様にしたほうが……すみません、言い訳でした。
 とはいえ、まったく行き当たりばったりばったりで造っているわけでもなく、シナリオ作成時にはそれなりに(本当にそれなりというのもある意味問題ですが)設定を組んでいます。そんなNPCたちの初期設定を少しご紹介しましょう。


ミーシャ・葛原
 初登場が死体というなんとも恵まれないキャラクターですが、実は初期設定では彼が黒幕でした。正確に言えば、マスターが事前に想定してあったストーリー展開の中で、もっともこうなるんじゃないかな?と思っていたストーリーでの黒幕です。出世競争に敗れ日本支社のような僻地に飛ばされたことを彼は強く恨んでおり、それを晴らす為に(つまり会社上層部の粛清のために)マザーJ01をそそのかした……というものだったのですが……いや、出番がなくて……


澤井愛
 この娘も境遇が大きく変わったキャラクターです。はじめは取材の名目でPCたちとそのSDに付きまとう騒がしい雑誌記者―というスタンスで設定していたのですが、開始直前になって「マザーの第一の犠牲者」を出す必要が生まれ、結果彼女をその役に選んだのです……が、さて選んだはいいが彼女は何で村上たちと一緒に行動することになったのか?―Meグループ社の闇の部分を暴きたかったから―闇の部分ってどんな?―SD技術の軍事転用というのはどうだろう―といことはSD連続破壊事件の犯人は軍用SDの技術が導入されていてもおかしくはないな―じゃあ犯人は軍用SDに人間の脳を移植したサイボーグに決定!
 というのが第1回リアクションから第2回リアクションの間で決まっていった設定だったりします。ホント泥縄じゃんよ。


村上竜三
 初期設定では村上には妹か娘がいることになっていました。交通事故で大きく身体を損傷した妹(または娘)のために、彼は失われた肉体の代わりになる機械の身体を開発すべくSDを開発した―と、いうのが最初村上のために考えていたプロットです。SD連続破壊事件の犯人は軍用サイボーグという設定になったことだし、ちょうどいいやと思っていたのですが、よく考えたら妹の身体を戦闘用サイボーグに改造するというのは、いくらなんでもマッド過ぎます。あまりに『メイドのココロ』の雰囲気にそぐわない―という事でやむなく妹or娘の設定は切り捨てました。


坂井院長&もえ
 この二人は急遽出演が決まったNPCです。SD連続破壊事件を指示していたのは村上だということは最初から決まっており、さらにその後、実行犯がSDのコンポーネントを利用した軍用サイボーグという設定が決まった時点で、軍用サイボーグに脳を移植するための大規模な脳外科施設が設定上必要になりました。そこで新桜花総合病院の坂井と村上が朋友であるという設定をつくり、また、村上竜三の項でも書きましたが、まさか村上の妹を軍用サイボーグにするわけにもいかなかったので、マザーの陰謀に巻き込まれて瀕死の重傷を負った部下を救うために、村上は彼女をやむなくサイボーグにしたという設定にしました。そうすればマザーへの復讐のために自らの身体を戦闘用に改造していても不自然ではなかろう、というわけです。
 ちなみに、もえの内蔵武装は最初二の腕から飛び出る刃でした。バオー・アームド・フェノメノン!というわけですな(だからマイナーすぎ)。


門間三郎
 まったく出番のなかった彼ですが、実は葛原の協力者という設定がありました。市長の座を約束する見返りに、葛原の野望への協力を要求されたというわけです。北町再開発計画をいきなりぶち上げたのは、北町住民の間に亀裂を生み出すための彼の策略です。そうやって彼は反Meグループ社となりそうな勢力の力をそぎ落としていたのでした。やっぱり最終的にはマスターにも存在を忘れ去られていましたが(ダメじゃん)。


宮川みづき
 上記の門間の策略を防ごうとする立場のNPCが宮川です。が……門間が出番なしになった以上宮川の出番も必然的に削られていきました。ちなみに彼女の恋人のゆかりは、PCの設定から生まれたキャラクターです。


アスカ&ロベルタ
 彼女たちはストーリーの誘導役であると同時に、対立を深める北町と南町の象徴として設定しました。二人ともメイドというのは完全にマスターの趣味です。
 アスカは以前TRPGのゲームマスターをやったときに出したNPCの流用です。もしかしたら雰囲気などは柴田昌弘『サライ』の影響をすこし受けているかもしれません。ロベルタは……ごめんなさい、広江礼威『ブラックラグーン』の登場人物のパクリです。日本刀を武器にしているのは『花右京メイド隊』の剣コノヱから取りました。どちらも、マンガやゲームではよくいるけど、普通ぜったいありえねぇよという戦闘メイドさんですね。ちなみにNPCの中で書いてて一番楽しかったのはロベルタでした。


ナースドロイドたち
 いちいち設定を決めるのも面倒だったので、『性格はシスタープリンセスの妹たちを流用』『名前の最後に必ず「香」がつく』という2点だけを決めて後はアドリブで対処しました。だからナースドロイドは「12体」いたわけなんですね。ちなみに優香は花穂、綾香は春歌、鞠香は鞠絵だったのですが……まあ、細かい性格描写をしてもしょせんはエキストラだし、それでPCの活躍を食ってしまったらそれこそ本末転倒なので、はっきりいって流してます。


 NPCの名前ですが、アスカとロベルタ以外の主要NPCはすべて航空機パイロットの名前から取っています。村上・澤井・宮川・門間と、倉瀬に仕事を依頼してきたMeグループ社の渡邊は航空自衛隊アクロバットチーム『ブルーインパルス』のパイロット(キャラ設定当時の)、坂井院長、チェリーブロッサムの編集長・加藤は太平洋戦争時の日本軍の著名なパイロットからとっています(『大空のサムライ』坂井三郎と加藤隼戦闘隊の加藤建夫)。葛原だけは特に原典というものはなく、思いつきで決めました。


タイトルについて

 『メイドのココロ』というタイトルは、アニメ版『まほろまてぃっく』のキャラクターソングからとりました。アンドロイドなメイドさんといえばまほろさんが代表格だから……というわけでもありません。むしろ明らかに影響を受けたのは西野つぐみ『戦うメイドさん!』というコミックだったりします。特にコミックの最後のエピソードで出てきた、世界中のコンピュータがネットワークで結ばれたことで生まれた『純粋知性体』は、マザーJ01を設定するときにかなり参考にさせていただきました。副題の『Machine-maid Heart』(機械製メイドのココロ)はMachine-made Heart(機械じかけの心)とのひっかけです。




 ……さて、これを持ちまして『メイドのココロ』関連の更新は最後です。ここまで読んでくれた皆さんには限りない感謝を捧げます。
 本当に、ありがとうございました。
 そして、また縁がありましたらお会いしましょう!


























































 最後に次回作についてちょっとだけ。
 『そして人魚は歌を歌う』では、PCは全員高校生です。そして、ひょんなことから人魚の娘を海辺で拾った(笑)ことから冒険に巻き込まれていく……という展開を考えてますが、実はシナリオメイキングにあたってマスターは意外なところから原典を取っていたりします。いや、意外ではないか。でもやっぱり、人魚伝説にしては反則技なんですよねぇ。
 そんなわけで、次回作もよろしくお願いいたします。

  


戻る